ご存知のとおり現代において、女性が管理職として活躍する場は、珍しくありません。
ですが、内閣府の『男女共同参画白書(令和4年版)』によると、2021年の女性管理職比率は係長級で20.7%。課長級で12.4%、部長級は7.7%と数字はかなり低い水準で推移しているのがわかります。
経営サイドと部下との間に挟まれた管理職。
今後も女性管理職はさらに増えていくと思いますが、身近に管理職として活躍している知人がおらずリーダーとしてどうあるべきかと悩む女性もいるはず。
部下とのコミュニケーションがうまくとれず、悩みや苦しみ、ストレスで精神が疲弊している人も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では、女性管理職が成功するためのマネジメント方法とポイントを詳しく解説。
今回は、部下との効果的な付き合い方やリーダーシップのポイントに焦点を当て、組織での成果を最大化するためのマネジメントノウハウをお届けします。
自己成長とチームの発展を目指す女性管理職に向けた必読の内容です。
Contents
◆女性管理職になるのは怖くない!
今を去ること10年以上前から、実は「出世したくない」という人達が顕著に浮かび上がってきた感がありました。
せっかくのチャンスである上級試験を受けない国家公務員が増えてきている、と。
当時私自身が把握していた「受けない」理由は「仕事より家庭を優先したい」でした。
地位や名誉よりもそこそこ安定した収入とプライベートに満足できる生活が出来るならその方がよい、というひとつの価値観が台頭してくる、その始まりだったのかもしれません。
・女性が管理職になりたくないと思う3つの理由
まずは「男性中心の職場文化と性差別」
日本の多くの職場では、男性が主導する文化や風潮が強く根強く残っています。
管理職になるには男性的な強いリーダーシップが求められるとのイメージがあり、昇進に対して女性自身が「本当に自分に務まるのだろうか」と自信を持てないケースがあります。
次に「ステレオタイプなリーダーシップのイメージ」
一般的な社会的認識において、管理職やリーダー像=スーツを着た男性、とアイコンで示されるように、男性的な特徴によって描かれることが多いです。
これにより、女性がリーダーになることに対して「自分は違うな」と自己評価し躊躇してしまうケースがあります。
最後に「ワーク・ライフ・バランスの課題」
管理職になると、責任と業務量が増えるため、ワーク・ライフ・バランスが不安定になるのでは、と懸念されるケースもあるでしょう。
特に家庭や子どもを持つ女性にとって、キャリアアップと家庭の両立は悩ましい問題といえます。
ワーク・ライフ・バランスの改善が進むことで、女性が管理職に進むハードルが下がる可能性が大いにあります。
これらの理由により、女性が管理職になりたくないと感じることが多いのではないでしょうか。
女性のキャリアを促進し、性別によらず能力を対象とする公平な評価制度やワーク・ライフ・バランスの改善、擦り込まれたイメージを払拭するようなリーダーシップモデルの拡大など、多様性を尊重する職場環境の整備が求められます。
女性が管理職を目指すことは、女性のみならず男性にとっても、またより良い組織や社会づくりのためにも大いに価値あることと言えるでしょう。
・抱きがちな管理職への3つの誤解を解く
「管理職は仕事が全て」
管理職になると仕事に全てを捧げなければいけないと思い違いをしていることがあるようです。
自分の時間を削る必要はないですし、むしろ管理職は自分の意志や指示で、適切な時間管理や効率的なリーダーシップを行うことが重要となります。
「管理職は常に厳しい決断と判断力が必要」
多くの女性は、管理職の役割は常に厳しい決断や判断力が求められると信じているようです。
確かに、リーダーシップには決断力を必要とする場面もあるでしょう。ただそれだけではなく、管理職には物事をしなやかに受け止め対応する柔軟性と、互いに助け合い同じ目標に向かって任務を遂行する協力性といった、チームをまとめ、メンバーの成長をサポートする力がとても重要なのです。
「管理職は男性の役割職」
社会的に作り出されたイメージにより、女性自身が管理職という役職に対して「男性向けの役割職」と誤解をする傾向があります。
実際には、リーダーシップや組織のマネジメントのスキルを持つ人が管理職として活躍することが重要であり、そこに性別は関係はないのです。
女性のキャリアアップを支援するためには、これらの誤解を解消し、女性が自信を持って管理職を目指せるような環境を整備することが重要です。
性別に関わらず能力そのものを評価し多様性を尊重することで、組織や社会全体の向上に繋がります。女性がリーダーシップを取り活躍することにより、新たな視点とアイデアを取り入れ多様性を尊重した職場文化の構築が可能になるでしょう。
・「この人ならついていきたい」と思う相手は十人十色
例えば、このような上司がいたら、どう思いますか。
- 部下の感情や立場に重きを置き、相手の気持ちを大切にする姿勢を持つ[共感力]
- 謙虚な態度で、同じ人間として、部下と対等な立ち位置で関わる[誠実さ]
- 部下の個人的なプライバシーを尊重し、信頼関係を築く[プライバシーの尊重]
- オープンで率直な対話を行い、関係性を構築する[誠実なコミュニケーション]
- 困難な状況にも前向きな姿勢を持ち、周囲に希望と勇気を与える[ポジティブさ]
- 部下の意見や貢献を尊重し、成長の機会やサポートを提供する[尊重とサポート]
- 建設的なフィードバックを提供し、成長をサポートする[適切なフィードバック]
- 感情や偏見に左右されず、公平な判断を行う[公平な判断]
- 共通の目標に向かって皆で協力し合えるチームをつくり率いる[チームの調和]
- 家庭と仕事の両立の重要性を理解し、サポートする[ワーク・ライフ・バランス]
部下と同じ目線でフレンドリーに関わり、成長に繋がる仕事を任せてくれて、見守りながらも適切なタイミングで手を差し伸べてくれる。そして個々人を尊重しながらメンバー全員への声掛けも忘れない。
これらの特徴を持つ女性管理職は、部下にとって心強いリーダーであり、部下から尊敬と信頼を得、組織全体の成長と発展を支える存在として尊敬されるのではないでしょうか。
◆女性管理職にはどんな事が期待されている?
女性が管理職になることは、多様性を重視する現代の職場において必要な要素と言えます。これにより、新しい発想や問題解決の方法が生まれ、職場全体のクリエイティビティとイノベーションが推進されることになります。
このような環境下において、女性管理職としての役割の肝を据えられるかどうかが重要になってきます。
・自分が果たすべき使命を正しく理解する
さて、令和の時代が求める管理職(マネージャー)像とは、一体どのようなものでしょうか。
令和の時代の管理職は、多様性とインクルージョンを推進し、変化の激しい社会環境に対応する柔軟性と適応力を持つリーダーシップが求められます。
共感とオープンなコミュニケーション力によって部下との信頼を築き、自己成長と学習意欲を持ちながら持続可能な運営に取り組みます。
部下の能力を信頼し、エンパワーメントとチームビルディングを通じて成長を促し、さらにはグローバルマインドセットを持つことで国際的な視点を持つことも重要です。
これらの特徴を持つ管理職が、変化の激しい令和の時代において、社会的な課題にも責任を持ち、組織と社会に対して持続的な価値を提供し、成果を上げることができるでしょう。
・マネジメントとリーダーシップのアライメント
マネジメントとリーダーシップのアライメントにおいて、「Boss to Coach(ボスからコーチへ)」の潮流が重要性を高めています。
従来の指示型の上司(ボス)から、部下を指導・育てるコーチへと変化するアプローチで、従来のボスとしての管理スタイルではなく、コーチとしてのリーダーシップを発揮することが求められます。
リーダーシップに関しては、管理職が部下に対してコーチの役割を果たし、自己成長や自己啓発を促進するアプローチで今後の成長と自己実現をサポートし、エンパワーメントを重視することで、より共感的なリーダーシップが展開され、個々の成長と組織の発展が両立する環境が形成されるでしょう。
リーダーとマネージャーは異なる役割を持ちます。リーダーはビジョンを示し、方向性を示唆する役割を担います。
メンバーを鼓舞し、共感を持って指導することで、組織全体の成長と発展を促進する一方、マネージャーは目標設定や課題管理、組織の効率性と目標達成に焦点を置きます。
リーダーシップとマネジメントが適切にアライメントされることで、組織が方針的に運営され、目標に向かって効果的な結果を生み出すことができるのです。
・女性が管理職を全うするために何よりも大切なこと
女性が管理職として最大限に活躍するために何よりも大切なことは、以下の3つの視点です。
まず、人づくりの本質を認識することが重要です。組織の成功や成長には、優秀な人材の存在が欠かせません。管理職として、個々のメンバーやチームの力を引き出すことで組織のパフォーマンスを向上させる役割を担っています。
人の成長を支援し、モチベーションを高めるリーダーシップを発揮することが必要です。
次に、最も大切な経営資源は人であることを再認識すること。優秀な人材の存在が、企業の競争力や革新の源となります。女性が管理職として活躍することで、多様性と創造性が組織に浸透し、組織全体の成果や質を高めることができます。
最後に、人材開発と人材育成の違いを理解することが大切です。
人材開発は、個々のメンバーのスキルや能力を向上させることに焦点をあて、研修やトレーニングを行います。一方、人材育成は新たな人材を発掘し、育てることに重点が置かれます。
この両方のアプローチをバランスよく活用し、組織の持続的な成長に貢献していきます。
これらの視点を見据え、人づくりの本質を大切にすることで、女性管理職は組織の中で真のリーダーシップを発揮し、成果を上げることができるでしょう。
◆女性管理職に求められるマネジメントスキル
女性管理職に求められるマネジメントスキルは、特にコミュニケーション力とフィードバック力の強化が重要です。
良好なコミュニケーションで部下との関係を構築し、共感的な指導を行い、フィードバック力で成長をサポートすることで、組織のパフォーマンス向上とチームの協力関係を促進します。
・「褒める」が苦手な日本の文化
日本の文化に関して、「褒める」ことが苦手な傾向が見られます。 これは、謙虚さや控えめを重んじる日本社会の価値観が影響しています。
さらに、日本の教育や職場環境においても、「褒める」文化があまり根付いていないことが影響しています。
成績や実績を上げることが当たり前とされ、褒められることが自然な状況とされていないため、褒められる習慣が希薄になっています。言ってみれば、褒めるにも褒められるにも苦手意識が見受けられます。
多様性を重視する国際的な企業では、積極的な褒め合いが行われ、モチベーション向上やチームの活性化が促進されることを通して、「褒める」が業績アップに効果的であることが報告されています。
褒める文化を醸成するためには、個々の成果を公平に評価し、適切なタイミングで認知することが重要です。
また、謙虚さと褒めることの両立を図り、共感的な言葉で感謝や賞賛を伝えることで、日本の文化に根付いた褒めることの大切さを浸透させることが求められるでしょう。
・絶対に外せない、しなければならないマストなスキルはこれ
女性管理職にとって絶対に外せないマストなスキルは、部下の信頼を勝ち取るためのコミュニケーション力とエンパワーメントです。
まず、コミュニケーション力が重要で、オープンで明確なコミュニケーションを心掛けます。
そして、エンパワーメントの実践。 部下の能力を信じ、主体性や課題解決する力の向上を促し、成長をサポートする姿勢を示しエンパワーメントを高めます。
さらに、フィードバック力も重要なスキルです。適切なタイミングで適切なフィードバックを提供し、肯定的な面と改善点をバランスよく伝えることで、部下が自ら成長に向けて努力するモチベーションを高めます。
エンゲージメントの高い部下が成長し活躍できる職場環境を築いていくことは、組織全体のパフォーマンスを向上させるとともに、女性管理職自身の存在をより一層輝かせることでしょう。
・価値観が異なる部下をマネジメントするためのポイント
価値観が異なる部下をマネジメントするための最大のポイントは、柔軟性と対話にあります。
部下の価値観を受け止め、違いを多様性として尊重する姿勢を持ちながら、共感と信頼を念頭に置いた部下との正直でオープンな対話を重ね、相互理解を深めることが大切です。
また、フレキシブルなアプローチで個別に対応し、共通の目標に向かってチームを結束させることが重要です。
◆女性管理職が部下のマネジメントを行う際に気を付けるべき点
女性管理職が部下のマネジメントを行う際に気を付けるべき点は、感情の知性(心の知能指数)を鍛えることです。
自己と他者の感情を正しく理解し、信頼関係を大切にしながらチームの結束を強化しましょう。感情のコントロールや関わり方を向上させることで、効果的なリーダーシップを発揮します。
・感情のマネジメントを忘れない
「人は感情の生き物である」という視点は、女性管理職がマネジメントを行う際に非常に重要です。
感情は人間関係や意思決定に影響を与える強い要素であり、部下との関係を築く上でおろそかにしてはいけません。
女性管理職は、自己と他者の感情を理解し、共感し、適切な対応を心掛けることが求められます。また、自分自身の心の動きに気が付き、感情的に決断することのないよう注意が必要です。
感情の生き物であることを念頭に、冷静な判断を欠くことのないよう感情の知性を鍛えることが肝要なのです。
そうすることで管理職としてチームの結束力を高め、個人の成長をサポートし、組織を成功に導く素晴らしいリーダーシップを発揮できるのです。
・本能だけならただの動物
「本能だけならただの動物」という視点は、女性管理職がマネジメントを行う際に重要な教訓です。人間は感情や本能に影響される存在であるため、直感に従って行動するだけでは、効果的なリーダーシップを発揮することは難しいでしょう。
女性管理職は、本能的な反応を抑え、冷静に状況を判断し、適切な対応を行うことが求められます。冷静な判断と公正な意思決定を行うためには、感情をコントロールし、感情と論理のバランスを取る必要があります。
そして、自己の成長にも意識を向けましょう。リーダーとしてのスキルや知識の向上を心掛けることで、組織全体の発展に貢献することができます。
主体的にリーダーシップを発揮することで、女性管理職は組織の成功を見極め、一人一人の成長と幸福感を促進する存在となるでしょう。
・感動こそが行動意欲を高めるということ
「感動こそが行動を高める」という観点は、女性管理職がマネジメントを行う際に欠かせない必須要素です。
感動を生み出すには、まず自らが情熱と熱意を持って仕事に取り組むことが大切です。自分が熱心であり仕事に対しての情熱を示すことで、周りにもその熱意が伝わります。
また、個々の部下のニーズや要求を理解し、その人らしさを尊重することも重要です。挑戦や成長の機会を提供し、部下が自己実現できる環境を整えることで、彼らの感動を得ることができます。
感動は、コミュニケーションから生まれます。 部下とのオープンな対話やフィードバックが何よりも大切なのは言うまでもありません。
最後に、目標やビジョンを共有し、部下の気持ちを掴み共感を呼ぶリーダーシップを発揮することも効果的です。部下に自分の役割が組織や社会にどのように貢献しているかを理解させることで、一人ひとりの行動意欲を高めることができるでしょう。
感動を勝ち取るリーダーシップを発揮することで、女性管理職は部下の成長をサポートし、組織全体のパフォーマンス向上に貢献することのできる、なくてはならない頼もしい存在となることでしょう。
◆まとめ
いかがでしょうか。
本記事では女性管理者の皆さまが、上手に部下と付き合うためのマネジメント方法とそのポイントを解説して参りました。
女性管理職には何が必要でどこに注力をしていけばよいのか。
本記事では「部下」をキーワードにお届けしております。
時代は常に変化し続け、今も変わりつつあります。
男女雇用機会均等法が益々定着し、女性だからといって許されることはなく、男性と同等のなすべき役割が女性にも求められています。
その中で、女性管理職として、いえ貴女自身として、自分らしい管理職のスタイルを作り上げていくことが、きっとこれからのキャリアの要となるのではないでしょうか。
女性管理職が増えることは、女性のみならず、さまざまな社会、民族的背景、異なる性別、性的指向など、多種多様なバックグラウンドを持つそれぞれの方へエールを送ることにも繋がっていくことでしょう。心より応援しております。
いつでもサポートできますのでどうぞお気軽にお問い合わせください。
KuseKaRaコーチ 眞橋今日子